賃貸マンションの購入は相続税対策になる?
賃貸マンション(アパート)の購入が相続税対策になるという話を聞いたことがある方はいらっしゃいますでしょうか?
たしかに賃貸マンションの購入は上手に行えば相続税の節税対策になります。
それでは、なぜ賃貸マンションの購入が相続税対策になるのか説明したいと思います。
1.不動産は時価よりも低い価額で評価される
まず、不動産を購入することにより財産の評価額を減らすことができます。
なぜなら、土地の評価は路線価方式もしくは倍率方式により行い、建物の評価は固定資産税評価額により評価するからです。
一般的に土地を路線価方式もしくは倍率方式で評価した場合、時価の8割程度で評価されます。
建物を固定資産税評価額で評価した場合は、時価の5~7割程度で評価されます。
例えば、現金1億円で土地を購入した場合は相続税評価上では8千万円程度で評価され、現金1億円で建物を購入した場合は相続税評価上では5~7千万円程度で評価されることになります。
つまり、現金で持っているよりも土地や建物に形を変えてしまった方が財産額を減らすことができるというわけです。
2.賃貸用の不動産は通常よりも評価額が低くなる
賃貸用の物件は、自宅などの物件と比較して財産評価額が低くなります。
賃貸マンション用の土地と建物を購入した場合、土地の評価は「貸家建付地」となり、建物の評価は「貸家」として評価されることになります。
貸家建付地の評価は、借地権割合50%、借家権割合30%、賃貸割合100%(空き室なし)と仮定すると、通常の85%の評価額になります。
貸家の評価は、借家権割合30%、賃貸割合100%(空き室なし)と仮定すると、通常の70%の評価額になります。
3.小規模宅地等の特例を利用できる
亡くなった方が生前に賃貸マンションとして利用していた不動産を相続した場合は、一定の要件を満たせば、賃貸マンションの土地の評価額を一定額まで減額することができます。
- 貸付事業用宅地等の特例=200㎡を限度に評価額を50%減額
小規模宅地等の特例については、適用するために様々な要件をクリアする必要があります。
適用を検討される方は是非専門家の意見を参考にお願いいたします。
4.金融機関から借り入れをすることにより財産を圧縮できる
不動産投資をする場合には、金融機関からの借り入れをする方が多いと思います。
金融機関からの借入金は、相続財産を評価するときに債務控除の対象となり相続財産を圧縮する効果があります。
ただし、借り入れ当初は良いのですが、年数が経過して返済が進むにつれて、財産圧縮の効果は薄れてきますので、タイミングなどはよく検討したうえで行う必要があります。
5.不動産経営によるリスク
たしかに賃貸マンションの購入は相続税の節税対策として有効です。
しかし、賃貸用不動産の購入には以下のリスクがあることもご承知ください。
- 空き室が増加して家賃収入が当初想定したより少なくなる
- 年数が経過して修繕費が多くかかってしまう
- 不動産収入の発生により、個人の所得税・住民税が増加する
- 大家としての仕事が思っていたよりも大変
- 相続人(子供)がマンション経営に理解を示さない etc
6.まとめ
以上、賃貸マンションを購入することによるメリット・デメリットなどを挙げていきました。
たしかに賃貸マンションの購入は相続税対策として有効であることは間違いありませんが、マンション経営は思っているよりも大変であるという声をよく聞きます。
当オフィスでは、賃貸マンションの購入を検討している方がいらっしゃる場合、将来の資金繰りや節税効果のシミュレーションを行っております。
この他にも様々な節税対策がございますので、お客様に合った方法をご提案させていただきます。